自宅近くから山の方へ向かっていく林道がある。その林道は和歌山県との境にある山へ続いていると言われているが、Google Mapを見た限りでは途中で道がなくなっている。ぼくはいまだかつて行ったことがない。
夏の終わりのある休日。
花を探しに林道を伝って山の中の森へ入ってみた。
誰が花の写真は「簡単!」と言った!?
ぼくが写真を始めてから主な題材にいているのは「花」。
植物園や公園など、人の手が加わってきれいに管理されている花は美しい。
でも、誰にも見つけられない、誰にも見られることのないかもしれない「野の花」も美しい。「神が創り給うた自然のもの」は、みな美しい。
写真を始めたとき、花の写真を撮ることは「簡単」だろうと思っていた。
だって、花は動かないから。
キツネノマゴ。
薄暗い森の中で、じっと耐え忍ぶように咲いている。
暗いので、手ブレを防ぐ目的でシャッタースピードを上げるためにISO800まで感度を上げているが、1/60秒のシャッタースピードでもきれいに撮れた。
四つん這いになって、カメラを構えて、自分の体の震えが止まるまで、じっと耐え忍んで撮った1枚。
アキノタムラソウ。
立体感のある花なので、ちょっと絞って撮りたかったのでF4まで絞ってみた。絞ると暗くなってシャッタースピードが上がらないのでISO感度を上げないと仕方がない。ISO1600まで上げてみた。
EOS Kiss X7の性能がそこまで高くないので、写真にざらつき感が出るのは仕方がない。
森のなかに差す木漏れ日が、背景で玉のようになってきれいに撮れたかも?とちょっとうれしい。
ノブキ。
一般的に、シャッタースピードは「1/レンズの焦点距離」が必要、と言われているらしい。撮影に使ったレンズはCanon EF-S60mm F2.8 マクロ USM。焦点距離は60mmなので、最低でも1/60秒のシャッタースピードは欲しいところ。
日がほとんど差し込まない暗いところで咲いていたので、ISO3200まで感度を上げてみた。さらにざらつき感は増すものの、手ブレを起こすよりはマシかと思う。
ISO100なんて設定にすると「何秒」というシャッタースピードになってしまうし、ISO1600でも1/40秒くらい。実際に撮影してみたけど、やはり手ブレを起こしてしまってきれいに撮れていない。
ミズヒキ。
こ、こいつ、動く!
しかも速い!
森の中を風が吹き抜けて、茎の長いミズヒキのような花は「ぐらんぐらん」揺れる。ファインダーの視界から消える。
これは、風が止むまでじっと待つしかない。「赤い彗星」とて、通常の3倍のスピードで動いたとしても、一瞬止まる時があるはず。
花が揺れて、メトロノームのように単純な揺れではないけれども、揺れの方向を変えるとき、一瞬、動きが止まる(ように見える)。
レンズのピント合わせを「オート」から「マニュアル」に変えて、花が一瞬止まりそうな場所にピントを合わせて待つ。
待つことしばし。撮れた写真が上の写真。
ちょっとピントがずれているけれども、「水引」のような紅白の花びらが撮れたから良しとしよう。
ヌスビトハギ。
そこだけスポットライトを浴びているように木漏れ日が差していて明るい。感度はISO100で十分。
し、しかし、こいつも動く!
しかも、つる性の植物で茎が「ムチ」のようにしなやか。揺れの予測が全くつかない!
これも、待つしかない。レンズをマニュアルフォーカスにして、ピントが合っている「そこ」に花が来る一瞬を狙うしかない!
やっぱり、ちょっとピントがずれているけれども、暗闇の中に浮かび上がうようにして写っているし、「お豆さん」も一緒に取れたから、良しとしようか。
ミズタマソウ。
おけけの生えたたまたまの先っぽに可愛い白い花。
神はなんと珍妙なものを創り給うたのか!?
ISO6400にしてみたけど、ちょっと感度を上げすぎたかな?いや、逆にシャッタースピードが1/200秒まで速くできたから比較的きれいに撮れたのかもしれない。
写真では明るく写っているけど、実際は薄暗い森の中。
「おけけ」が森の中のかすかな木漏れ日で光ってとてもきれい。
オトコエシ。
ISO1600で撮影。暗い部分に少しざらつき感が出るのは仕方がないとしても、花はそこそこきれいに撮れているから、良しとしようか?
ざらつきが、気になるっちゃ気になるし、気にならないっちゃ気にならないし。
ゲンノショウコ。
風もなかったし、比較的明るいところに咲いていたから、これは簡単に撮れた。ISO800くらいなら画質も問題なし。
こちらはISO400。
薄くピンクがかった白い花びらに紫のすじ。雄しべにも似たような模様が。
Canon EF-S60mm F2.8 マクロ USMは、自然な感じのボケた感じで撮れるので好き。お気に入りのレンズ。
花との戦いは続く
難しければ難しいほどきれいに撮ってやろうと思うし、逃げれば逃げようとするきれいなお姉さんを追いかけるのが、オトコの本能。
多少画質が悪くなってもISO感度を上げたほうがいい写真が撮れるということがわかったし、ムリにきれいなお姉さんを振り向かせるよりも、お姉さんが振り向いてくれるまで「待つ」ムリにピント合わせするよりも、合わせたピントのところに花が来るのを「待つ」という手法も試せたし。
なかなか収穫の多い一日。
さらに花との戦いは続くのであった。。。